東京の住宅地でキウイフルーツ!?~東京生まれの「東京ゴールド」にせまる!~

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公開日:2024年11月26日
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現役大学生が、東京の農林水産業に関する取り組みや疑問について取材するコーナーです!今回は東京生まれのキウイフルーツ「東京ゴールド」について取材してくれました!

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「キウイフルーツの産地」と聞いて、どこを思い浮かべますか?
ほとんどの方が、海外をイメージするのではないでしょうか?そもそも日本で作られているイメージが少ないキウイフルーツ。

実は東京都内でも栽培され、「東京ゴールド」という東京生まれの品種が存在します。 今回は、西東京市にある「矢ヶ崎ぶどう園」さんを訪ね、東京産のキウイフルーツ「東京ゴールド」の特徴や栽培のこだわりについてうかがいました!

 

「東京ゴールド」とは?


「東京ゴールド」とは、東京都小平市生まれのキウイフルーツの品種です。
他のキウイフルーツと比べて先がとがった形をしており、最大の特徴はその美しい黄金色の果肉と、濃厚な甘さの中に程よい酸味をもちあわせた食味です。
見た目の華やかさとともに、一般的なキウイ「ヘイワード」よりも酸味が少なく果実の自然な甘みが際立っています。

また、キウイフルーツはビタミンC の豊富さから美容や健康に良いフルーツとしても注目されていますが、「東京ゴールド」も例外ではありません。高い栄養価を持ちながらも癖の少ない食べやすさが特徴で、幅広い方から愛されています。

 

「東京ゴールド」の歴史は、東京でのキウイフルーツ栽培から始まります。東京におけるキウイフルーツの栽培は意外と古く、1960 年代にはすでに始まっていました。平成10 年に小平市の農園で偶然発見され、東京都農業試験場(現:東京都農林総合研究センター)とともに研究を行う中で新種であると判断され、平成25 年に「東京ゴールド」という品種で登録されました。

そんな「東京ゴールド」を手がける農園の1 つが、約50 年前から果樹栽培を行っている西東京市の矢ヶ崎ぶどう園さん。この農園でのキウイフルーツづくりの歴史は、矢ヶ崎さんのご両親が国立市でキウイフルーツの苗木を購入し、試行錯誤を重ねながら栽培を始めたところから始まります。

もともとブドウを作っていた圃場の空いた場所を有効活用しようとキウイフルーツの栽培をすることになりました。当初はキウイフルーツが世間に広まっていなかったことから栽培方法も分からず、他の農家に教わりながらのスタートだったといいます。
キウイフルーツの栽培には時間と労力がかかり、最初の6~7 年は収穫や販売にたどり着くまで困難の連続だったそう。

しかし、矢ヶ崎さんのご両親は諦めることなく、土壌改良や栽培技術を学びながら少しずつキウイフルーツの品質向上に成功しました。特に「土づくり」にはこだわりがあり、50 年もの努力とこだわりを重ね、自然に優しい方法で土壌を整えることで、自然な味わい深い果物を育てています。

お金も手間もかかり、すぐには効果を実感するものではありませんが、この徹底した土壌管理と緻密な栽培技術が矢ヶ崎ぶどう園産の「東京ゴールド」の独特の甘さとコクを生み出しているのです。また、昨今では暑さ対策や鳥害対策など、良いキウイフルーツをつくるための努力を怠りません。
 

地道な努力によるファン獲得



生産が軌道に乗り始めても、東京産のキウイフルーツを広く認知させるのは簡単ではありませんでした。当時、果物といえば都外での生産が主流であり、「東京で果物が栽培されている」というだけで驚かれることが多かったといいます。
そこで矢ヶ崎さんは、地道な営業活動を展開しました。
もともとつながりのあった銀行の外回りのプレゼント用として配布してもらい、味の良さから徐々に口コミで評判が広がっていきました。

その後、矢ヶ崎ぶどう園の果物は地元のスーパーマーケットや学校給食などでも採用され、販売の機会が増えていきました。現在、矢ヶ崎ぶどう園では「東京ゴールド」を含めて4 種類のキウイフルーツを作っているそうで、直売所やイベントなどを通じて販売されています。

また、新たな販売方法として、無添加で製造されたジャムの製造・販売も手掛けています。保存料を一切使用せず、素材本来の風味を生かしたジャムは絶品です。徹底的な味へのこだわりを持つ矢ヶ崎ぶどう園の商品は多くのリピーターに愛されています。
 

「東京ゴールド」がつなぐ消費者と地域



矢ヶ崎ぶどう園が栽培する「東京ゴールド」は、単なる果物にとどまらず、地域と農家をつなぐ存在でもあります。
都市部での果物栽培は、周囲の住宅への配慮など都市化が進む中で難しさもありますが、それでも地元の自然や環境を守りながら作物を育て続けることに大きな意義があります。

矢ヶ崎ぶどう園は地元の子どもたちへの食育活動にも積極的に取り組んでおり、農業の大切さや自然との共生を伝えるために、農場見学や中学生の職業体験の受け入れも行っています。農家をはじめた当時は畑だらけだったという田無も、今は住宅地に囲まれ、地元住民の農業とのつながりが希薄になってしまうことを危惧する矢ヶ崎さん。
このような活動を通じて、若い世代に「農業の楽しさ」と「東京で果物を育てる意義」を伝え、次世代へのバトンをつなげています。

今回筆者の私自身も取材を経験するまでは東京でキウイフルーツが作られていたことを知りませんでした。「東京ゴールド」は、単なる果物ではなく、農家の努力とこだわり、そして地域の人々とのつながりが生み出した特別な存在であることがわかりました。

矢ヶ崎ぶどう園のように、地元で愛されるキウイフルーツを育て、地域に貢献する農家の存在は、今後ますます注目されることでしょう。都市部での果物栽培という挑戦を続ける農家さんが、これからも美味しいキウイフルーツとともに、地域を盛り上げていく姿が楽しみです。


▼もっと詳しく知りたい方は
https://tokyogrown.jp/special/hunter/detail?id=715981

▼取材協力
矢ヶ崎ぶどう園
http://yagasakifruits.web.fc2.com/

取材者:大学4年生S・A

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▼情報やご意見はこちらからどうぞ
https://www.tokyo-aff-fc.jp/contact/
 
それでは次回の更新をお楽しみに♪


 
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