東京の旬を発見!~江戸東京野菜の魅力とは(谷中ショウガ編)~

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公開日:2024年10月11日
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現役大学生が、東京の農林水産業に関する取り組みや疑問について取材するコーナーです!今回は東京が誇るブランド「江戸東京野菜」について取材してくれました!

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突然ですが、皆さんは「江戸東京野菜」についてご存じでしょうか?
あまり知られていないようなのですが、東京には江戸時代から栽培されてきた伝統的なブランド野菜がたくさんあります。

これらの野菜は、東京各地で独自の栽培方法や品種を守りながら育てられてきましたが、宅地化に伴う農地の減少や収穫できる量の少なさから、現代では栽培する農家さんの数も少なくなってしまっています。

しかし、江戸東京野菜には、地域の歴史や文化が詰まっており、地元の特産品としての価値は今もなお健在です!具体的な例としては、「谷中ショウガ」「練馬ダイコン」「馬込三寸ニンジン」などが挙げられ、これらは地名と結びついた野菜として知られており、現在約50種類が栽培されています。

生産者が減っている現状ながら、伝統を守り続けたいという思いから日々奮闘し、江戸東京野菜の生産を続けている東京の農家さんたちがいます。
もしかすると、皆さんが普段暮らしている地域や職場の近くでもこうした江戸東京野菜が育てられているかもしれませんよ!?

今回は今が旬の「ショウガ」に注目し、江戸東京野菜「谷中ショウガ」をつくられている東京都国分寺市の小坂農園さんを訪問しました!



「二つの伝統」を受け継ぐ小坂農園

「谷中ショウガ」を栽培する小坂知儀(こさか・ともよし)さん


東京都国分寺市で農業を営む小坂農園は、なんと約300年の歴史を持つ老舗の農園です。現在この農園を営んでいるのは小坂良夫(こさか・よしお)さん、知儀(ともよし)さん親子。
小坂農園では、江戸東京野菜の一つである「谷中ショウガ」をはじめ2ヘクタールほどの農地で100種類以上の野菜を栽培しています。そんな小坂農園が谷中ショウガの栽培を始めたのは50年ほど前のこと。良夫さんが東京で栽培されている伝統野菜に興味を持ち、谷中ショウガの種を買い付けて栽培を始めたそうです。

小坂農園では、300年続く農園と江戸東京野菜の伝統を絶やさないという使命感をもって農業を営んでいます。取材を受けていただいた知儀さんも大学では農業を専攻し、家業を手伝いながら専門知識を身につけてきました。「他の場所で食べる野菜よりも家で育てた野菜の方が美味しかった」と語るように、知儀さんも小坂農園のファンの1人といっていいかもしれません。

大学卒業後はドイツで1年間、現地の農業について研修を受け、その経験を活かしながら帰国後に小坂農園の後継者として取り組んでいます。「江戸東京野菜の種を絶やしたくない」という強い思いから、知儀さんは伝統野菜の栽培に力を注ぎ続けています。その努力が実を結び、現在では小坂農園がつくる「谷中ショウガ」のファンも多く、収穫時期を迎える9~10月頃には昔からのお客さんから直接お問い合わせをいただくこともあるのだとか。同園でつくる谷中ショウガのジンジャーシロップはメディアでも取り上げられたことがあるほどの人気商品です。

 

 

「谷中ショウガ」の特徴とは?

「谷中ショウガ」は、もともと東京の日暮里・谷中地区で栽培されていた葉ショウガの一種で、見た目が白く、スジが少ないため食感が良く、風味が豊かであるということが特徴です。また、一般的なショウガよりも辛みが少なく柔らかいため、料理に使う際も扱いやすいのが魅力です。


そんな「谷中ショウガ」は、水加減や日当たりなど、栽培には多くの手間と工夫が必要です。水加減については、多すぎると根腐れ、少ないと発芽不良になるため水管理が重要で、強い日当たりも生育に影響するため、小坂農園では西日が当たりづらい場所を選んで栽培しているとのこと。
また、種を深めに植えたり土寄せの頻度を増やしたりと、美味しい「谷中ショウガ」を作るためには手間がかかります。そのため現在では、「谷中ショウガ」を栽培する農家の数も減っているようで、国分寺市内でも15軒ほどの農家でしか作っていないようです。



谷中ショウガの魅力とおすすめの食べ方


小坂知儀さんに、「谷中ショウガ」のおすすめの食べ方を伺いましたのでいくつかご紹介します!

1)そのまま味噌をつけて食べる
「谷中ショウガ」の風味をダイレクトに楽しむための一番シンプルな食べ方です!
生のショウガに味噌をつけて食べることで、ショウガ本来の爽やかな香りと味わいを感じることができます。取材スタッフも試食しましたが、非常にさっぱりとしていて、特に暑い日にはぴったりの一品です。お酒のつまみとしても最適です!
2)スライスして酢やしょうゆに漬ける
こちらは保存食としてもおすすめの食べ方です!「谷中ショウガ」を薄くスライスし、酢や醤油に一晩漬けておくことで、ショウガの風味がさらに引き立ちます。さっぱりとした味わいで、箸休めにピッタリです!
3)お肉で巻いて焼く
ショウガの食用増進効果を生かした一品です!ショウガをお肉で巻いて焼くことで、ショウガの風味とお肉の旨味が絶妙にマッチします。特に暑い季節には、スタミナをつけるための料理としてもおすすめです!



今回の取材を通して、江戸東京野菜を守ってきた農家の皆さんの努力や大変さが詰まっていることを実感しました。しかし、現代の東京では農地の減少や都市化が進み、江戸東京野菜をはじめとした東京の農業を守り続けることが困難になってきています。また、東京の農地は周囲を住宅街に囲まれていることも多く、土埃や騒音、においなど配慮が必要なことが多々あります。

だからこそ、私たち消費者が江戸東京野菜をはじめ東京の農業について知り、地域の農家を応援することが大切です。地元の農家さんがつくる新鮮な野菜を食べることで、地元への愛着も深まるのではないでしょうか。皆さんも伝統野菜を未来へと受け継いでいきましょう!

皆さんが生活する東京には、まだまだ多くの知られざる魅力が隠れています。日常の中で、地域の歴史や伝統に触れる機会を大切にし、東京の旬をぜひ探してみてください!



▼取材協力
小坂農園
・Instagram
https://www.instagram.com/kosaka_farm/?hl=ja
・facebook
https://www.facebook.com/kosakafarm/?locale=ja_JP

取材者:大学4年生S・A

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それでは次回の更新をお楽しみに♪
 

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