東京で手に入る "朝採れ" の甘み 意外と知らない「秋川とうもろこし」の産地を訪ねて

ニュース
公開日:2026年07月07日
イベント詳細トップ

東京都産とうもろこしの魅力と、おいしさを生み出す栽培の舞台裏。都内有数の産地であるあきる野市の「秋川とうもろこし」を取材し、夜明け前の収穫や、1株に1本のみを育てる農家のこだわりに迫ります。また、都心に近いからこその鮮度の高さや、朝採れの甘みを保つ正しい保存法、おすすめの食べ方もご紹介します。

「とうもろこし街道」のまち あきる野の大地が育む甘さ


夏の食卓に欠かせない、とうもろこし。スーパーでは北海道産が多く並びますが、実は東京にもとうもろこし畑があるのを知っていますか?
中でも、都内の一大産地であるあきる野市のものは、「秋川とうもろこし」として有名です。 秋川とうもろこしの魅力について、東京もろこしファーム代表の高橋功さんに話を伺いました。
 

あきる野市のとうもろこし畑

あきる野市は、古くからとうもろこし栽培がさかんな地域。かつては五日市街道沿いにとうもろこしを売る小屋が並び、「とうもろこし街道」と呼ばれるほど賑わいました。
ここで生まれ育った高橋さんは、採れたてのとうもろこしの味が今でも記憶に残っていると言います。 「はじけるような瑞々しさと果物のような甘さを、他の人にも食べてもらいたいと思っています」

 

夜明け前に収穫するから味わえる段違いの甘さ


あきる野市の高橋さんのとうもろこし畑

「太陽が出てくると、とうもろこしは光合成をして呼吸による糖の消費が増えます。せっかく蓄えた糖分がエネルギーとして使われてしまうんです。だから、とうもろこしの糖分が逃げない夜明け前に収穫するんですよ」

とうもろこしの収穫が始まるのは深夜3時。ヘッドライトを照らしながら、手の感触を頼りに選び抜き、朝7時には200本近くのとうもろこしの収穫を終えます。収穫したらすぐに虫がいないかを1本ずつ確かめ、重さを測って手早く袋詰め。 8時には袋詰めの終わったとうもろこしを直売所へ出荷し、9時の開店に合わせて店頭に並びます。

さらに、高橋さんによれば、収穫期のとうもろこしの甘みが詰まった期間はわずか2、3日。タイミングが少しでもずれたとうもろこしは、瑞々しさがなくなったり糖度が落ちたりしてしまうそう。
「とうもろこしがおいしい時期って、本当に一瞬なんです」

そう話す高橋さんは、ベストな状態で収穫するため、日中から毎日畑をまわって1本1本の身のふくらみや先端の丸みをチェックし、翌日の収穫を見定めます。 ベストなとうもろこしを育てるために、どんなことを心がけているのかを聞いてみました。

 

1つの株から選び抜いた1本を大事に育てる


あきる野市の高橋さんのとうもろこし畑

「とうもろこしは1株に対して1本だけ。それ以上は育てません」
大人の身長ほどまで伸びるとうもろこしの株は、本来なら2本、3本と実をつけます。しかし、高橋さんは早い段階で実になるまで育てる1本を見極め、残りはヤングコーンのうちに摘み取ってしまうのだそう。

「これまで試行錯誤してみて、2、3本目以降のとうもろこしは先端の粒がなくなってしまうことが多かったんです。だから、1株に何本も育てるのではなく、1本を大事に育てていこうと決めました」
1本に絞って養分を注いだ結果、粒が先端まで詰まった、実の大きいとうもろこしができると話します。

1株で収穫は1本きりと決めている高橋さんの畑は、全部で5ヶ所。 黄色い大粒が特徴のゴールドラッシュと、やさしいホワイトとのバイカラーがきれいなドルチェドリームの2種類を栽培しています。
収穫シーズンを長くするため栽培の時期を少しずつずらし、1ヶ所の収穫を終えたら次の畑へと場所を変えています。

 

農家が教える保存のコツと食べ方


秋川とうもろこし

とうもろこしは収穫後も呼吸を続けているとのこと。だから朝採れのとうもろこしだとしても、長時間常温に置いていると、甘みが落ちてしまいます。おいしさを逃がさないためには、購入後すぐに冷蔵庫のなるべく温度が低いところで保存するのがベストです。

また、とうもろこしは茹でたり電子レンジで加熱したりして食べる方が多いかもしれません。高橋さんにおすすめの食べ方を聞いたところ、返ってきたのが "蒸しとうもろこし" 。

「茹でたものや電子レンジで加熱したものと比べると、粒の水分が抜けすぎず、水っぽくなりすぎずで、ちょうど良いんです。蒸すときは茹でるよりも少し長い4、5分くらいを目安に。粒の色が変わったら食べごろなので試してみてください」

遠方からも買いに来る「秋川とうもろこし」


あきる野市の高橋さんのとうもろこし畑

都心のスーパーに並ぶとうもろこしは、流通の都合で店頭に届くまでにどうしても日数を要します。とうもろこしは、収穫した瞬間から少しずつ甘みが失われていくと言われています。だからこそ、朝採れのとうもろこしのおいしさは別格です。あきる野市では、収穫したばかりの新鮮なとうもろこしに出会えるのが魅力。生でも甘さを感じるほどのみずみずしい味わいを、都心から車で約1時間の距離で楽しむことができます。

そのため、あきる野市の直売所には、都心部や都外からも買い物客が訪れます。とくに休日は、開店後1時間で売り切れてしまうことも珍しくないとか。
「まだ試行錯誤ですが、もっと収穫本数を増やしていきたいですね。そのために、栽培地を広げて午後に買いに来たお客さんにも提供できるようにしたいです」

よりおいしく、より1本でも多くとうもろこしを育てるために、小さな手間も惜しまない高橋さん。
あきる野市でしか手に入らない味を、ぜひ試してください。

 

さらにおいしくなる旬の味と畑が広がる風景を求めて


あきる野市の高橋さんのとうもろこし畑

秋川とうもろこしは、6月中旬から7月の終わりまでが旬です。
さらに、7月中旬ごろ梅雨が明けて気温が高くなるにつれて、とうもろこしの甘さは増していくといいます。スーパーではなかなか手に入らない「朝採れ」ならではの甘みと瑞々しさが味わえるのは、ごくわずかな期間。
今だけの味と、黄緑色の穂と深緑の葉がやさしく揺れるとうもろこし畑の風景を求めに、あきる野市へ足を運んでみてください。
 

秋川とうもろこしが購入できる場所はこちら



秋川ファーマーズセンター
http://www.ja-akigawa.or.jp/farmers2.html

 

取材・撮影 みつはしさなこ
 

  • ホーム
  • 特集記事
  • 東京で手に入る "朝採れ" の甘み 意外と知らない「秋川とうもろこし」の産地を訪ねて