東京農業だからできる!くらしを豊かにする「お気に入り農家」 の見つけ方

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公開日:2026年01月16日
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人口が1400万人を超える日本の首都・東京。一方、農家の数は約9500戸ほどで、農地の総面積は東京都全体の約3%程度に留まります。近隣のスーパーで東京産の野菜をなかなか見かけないという方も多いのでは。 こうした中で、東京で農業をする面白さを見つけて消費者に東京の野菜を届けたいと活動する生産者たちも存在します。私たち消費者にとっても、生産者とつながるのは今の食やくらしを豊かにするきっかけになるはずです。

巨大消費地との近さに魅力を感じ東京で農業をスタート


お話を伺ったのは、青梅市で農業を営む繁昌農園の繁昌知洋さん。東京都小平市出身の繁昌さんは大学卒業後に青果店で働いたのち、農業学校で農業を学びました。当初は長野や千葉などの大きな産地を考えていたものの、東京での研修をきっかけに、国内最大の消費地の近くで農業をする魅力に気づいたといいます。

「農”業”と呼ばれるように、僕にとって農業はライフスタイルではなく、生業。そのために売る場所はとても重要だったんです。巨大なマーケットと多様な価値観を持つ消費者のすぐ近くで農業ができるのは、すごく面白いなと思いました」

東京繁昌農園・繁昌知洋さん

また、野菜を単なる商品ではなく、その育つ過程も伝え共有したいと考える繁昌さん。畑での体験をするには、都心からのアクセスの良さも大切だと話します。

「消費者は手に入った野菜をどう使うかに目を向けがちですが、僕はその野菜ができるまでの道のりも伝えたいんです」

体験を通じて食や自然への関心が高まれば嬉しいと、繁昌さんは話します。

交流の入り口に 農家と消費者をつなぐマルシェ


繁昌さんの野菜は近隣のスーパーマーケットや直売所に並ぶほか、マルシェにも積極的に出店して販売しています。
カラフルな野菜を作るのが好きという繁昌さんの野菜には、紫カリフラワーや飛騨赤かぶなど珍しいものも。
「きれいな色の野菜だけど、どう使えばいいの?」という消費者の不安に応えるため、店頭でレシピを配布したり食べ方を伝えると、お客様が手に取りやすくなるのだそうです。また、「この間買った野菜がおいしかったよ」と感想を伝えてもらえるのも喜びのひとつ。

マルシェで野菜を販売する繁昌さん
東京農林水産ファンクラブが出店する「東京農林水産マルシェ」にも参加。カラフルで珍しい野菜が大好評でした。

「こちらが一方的に伝えるばかりではなく、お客様から食べ方を教えてもらうこともあります。双方向の交流が自分のやりがいにつながっているんです」

体験にこだわるイベントやプロジェクトを開催


青梅市にある農園では、毎月ファームイベントも企画。季節に合わせて、夏は藍染め体験を、冬は味噌づくりを実施しました。地元の方だけでなく、都心部からの参加も多いそう。 近年は親子連れでの参加が増えており、イベント以外にも自然遊びの場として楽しんでいるといいます。特に、ふだん自然に触れることが少ないお子さんたちは、土の触り心地や虫たちの様子を興味深く観察しているそうです。

東京繁昌農園・繁昌知洋さん

さらに、繁昌さんが最も力を入れているのが、「米人(こめびと)プロジェクト」。 田植えから収穫、脱穀、餅つきに至るまでを、あえて機械を使わずなるべく自分たちの手で行う、約半年間にわたるプロジェクトです。

「茶碗1杯のお米ができるまでに、どれだけの労力がかかるかを実際に体験してほしいんですよ」

2022年にスタートして以来、徐々に参加者が増え、今年は3農家と計20組の参加者での米づくりとなりました。なかには初回からずっと参加しているリピーターもいるとのこと。

「僕自身も米づくりが専門ではないため、参加者と一緒に試行錯誤しながらの6ヶ月間です。開催して実感したことですが、僕も参加者もともに成長を感じられるんです」

半年間、楽しさと苦労を共有しながら一緒に育てたお米。その炊き立ての味は、品種や産地を超えた格別のものなのだそう。 さらにもう一つの魅力は、参加者同士の横のつながりがあること。作業の日以外にも参加者たちがSNSで情報交換をしたりするなどの交流が生まれているそうです。また、子供に体験させたいと参加する親子が増えており、子供たちにとっても、小さなコミュニティが生まれているといいます。

「農業をきっかけに、それぞれのくらしがちょっぴり豊かになっていると感じます」

SNSで農園のいまを伝える


東京繁昌農園・繁昌知洋さん

マルシェだけでなく、繁昌さんはSNSも消費者との交流ツールとして積極的に活用しています。 青梅市から離れたエリアでのマルシェや産直ECショップの発送では、野菜と一緒にSNSプロフィールを載せたチラシを渡しているそう。SNSでは畑の様子や収穫した野菜を投稿し、畑の様子を伝えます。ファームイベントの告知や申し込みも、SNSが役に立っているとか。

「農園の野菜を買ってくれた方が投稿を見て、近隣地域以外からもイベントに参加してくれるようになったんです」

マルシェやSNSを活用して消費者とのつながりを作ろうとしている繁昌さん。今後も里山の木を切ってのシイタケ栽培や、養蜂など、さまざまな体験イベントを企画したいと考えているそうです。

「森があって、川があって、土があって、生き物がいる。この自然のバランスの中で野菜ができ、それを食べて楽しむのがコンセプト。今後はそれをさらに広げていきたいです」

東京で「お気に入り農家」を見つける3つのステップ


繁昌知洋さんの育てたカラフルなカブ

繁昌農園のほかにも、東京で自分らしい形で消費者に豊かになってもらいたいと考えている農家は多くいます。最後に、自分に合った「お気に入り農家」を見つけるための3つのステップを紹介します。

1.マルシェに足を運ぶ

まずはマルシェに気軽に足を運んでみてください。気になった野菜の食べ方やおすすめの野菜など、どんな質問でもマルシェに立つ生産者たちは喜んで答えてくれます。会話をきっかけに、自分に合う生産者を探してみましょう。

2.SNSをフォローする

気になる生産者を見つけたら、SNSを探してフォローしましょう。日々の畑の様子やイベント情報だけでなく、生産者の考え方を深く知ることができ、より親しみやすくなります。

3.野菜を直接購入したりイベントに参加したりする

生産者の販売場所や販売サイトで実際に野菜を購入したり、イベントに参加してみましょう。顔を合わせることができれば、ぜひ生産者に声をかけてみてください。 生産者から直接手にわたった野菜は、新鮮なだけでなく、料理をしながら畑や作り手の顔が思い浮かぶでしょう。そんな姿を想像しながら食べると、いつもよりもずっとおいしく感じられるはずです。 ぜひ、お気に入りの農家を見つけて、いつもの食卓やくらしを豊かにしてください。

取材協力
東京繁昌農園 代表 繁昌知洋さん

東京繁昌農園・繁昌知洋さん

北里大学海洋生命科学部卒業。学生時代の海の生態系の研究から森や土の重要性に気づき、農業に関心を持つ。都内青果店の勤務で野菜について学んだのち、農業学校で本格的に農業を学び、2016年に就農。マルシェや直売所での野菜販売のほか、畑での体験を重視するファームイベントや「米人プロジェクト」などの活動を積極的に行う。
https://www.tokyo-aff-fc.jp/marche/detail/id=880
https://hanjo-farm.com/
https://www.instagram.com/hanjo_nouen.tokyo/

取材・撮影:みつはしさなこ

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