東京で出会う、南国の果実 パッションフルーツの魅力を探る(後編)

東京都内のさまざまな地域で栽培されているパッションフルーツ。地域によって収穫時期が異なるため、東京産の「旬」は意外と長く続きます。 果実の選び方や食べごろの見極め方、生で味わう以外のアレンジ、そして意外な食材との組み合わせまで、知ればもっと楽しめる、東京産パッションフルーツの奥深い世界をご紹介します。
東京の“旬”をリレーするパッションフルーツの産地

東京都はパッションフルーツの産地が広く分布しています。国内のパッションフルーツ収穫量では、鹿児島県、沖縄県に次いで第3位。小笠原諸島、伊豆諸島、さらに本土側の八王子市でも栽培されています。
東京都産だけでも長い期間楽しめる
東京都は島しょ部を含めると南北に長く、本土側から小笠原諸島の母島までは約1,000kmに及びます。緯度で見ると、八王子は北緯35度40分、母島は北緯26度39分と大きな差があり、緯度が1度違うと年間の平均気温が約1度変わるともいわれています。
こうした気候の違いにより、都内で栽培されるパッションフルーツの販売時期も地域によって異なります。例年、南の小笠原諸島では年末年始頃から販売が始まり5月に出荷の最盛期を迎えます。伊豆諸島では6月上旬頃から、北の八王子では8月上旬頃から販売が始まり、都内産だけでも長い期間にわたって旬の味わいを楽しめるのが魅力です。
産地によって味は違う?
パッションフルーツは、産地によって味に違いがあるのでしょうか。三宅島の東山農園・前田洋一さんにお話を伺いました。
「品種によって特徴は異なりますが、産地による違いはほとんどないと思います。三宅島で栽培している『台農一号』という品種は、収穫直後は酸味が強めですが、追熟すると甘みが増していきます。また、八丈島経由で導入された『ルビースター』という品種は小ぶりで酸味が強い印象です。」
パッションフルーツは追熟がポイント!

「名前だけは知っている」「ジュースやジャムなどの加工品は口にしたことがある」という方は、生の果実を選ぶ際にどれを選べばよいのか迷うかもしれません。
頭とおしりを軽く押してやわらかさを確かめてみましょう。かたいものほど新鮮ですが、新鮮だからといってすぐ食べるのがよいとは限りません。パッションフルーツは追熟する果実で、収穫後も常温で1カ月ほど保存できます。
食べごろは皮のシワで見極めよう
酸味を楽しみたいなら購入後早めに食べるのがおすすめです。酸味が苦手な方は、皮にシワが現れるまで待つと、適度に酸味が抜け濃厚なおいしさを楽しめます。冷蔵庫や冷凍庫に入れると、酸味が残りやすくなるため注意が必要です。常温で保管しましょう。
パッションフルーツはどうやって食べる?
生産者の前田さんは、「ぜひ生のままで味わってみてほしい」と話します。半分に切り、スプーンですくってそのまま食べられます。果汁がこぼれやすいので、切るときは注意が必要です。種はポリポリとした食感が楽しめますが、気になる場合は、こしてジュースにするのもおすすめです。
中には、食べる前に枕元に置いて香りを楽しむというユニークな楽しみ方をする人もいるそうです。
組み合わせ次第でいろいろ楽しめる!パッションフルーツのおいしい食べ方

生のまま食べるだけでなく、さまざまなアレンジができるのもパッションフルーツの魅力。アイスクリームに天然のフルーツソースとしてかけるのがお気に入り、という声はよく聞きます。甘いアイスクリームと一緒に食べると酸味が引き立ちます。
サラダのドレッシングや肉料理のソースとしても相性がよく、パイナップルと同様に含まれるタンパク質分解酵素によって肉をやわらかくする効果も期待できます。

ヨーグルトにかけたり、ゼリーにしたり、水や炭酸で割ってドリンクにしたりといったアレンジも。お酒好きな人なら、上側を落としたパッションフルーツを器にして、焼酎などを注いでもいいですね。
パッションフルーツと和菓子の組み合わせも!
意外にも和菓子との相性も抜群です。以前、三宅島の高校生が授業でパッションフルーツの加工品づくりに挑戦し、白あんのどら焼きにパッションフルーツを挟んだものが試食会で好評を博しました。
市販品にはパッションフルーツを練り込んだようかんもあります。みつまめやクリームあんみつにパッションフルーツを加えても、さっぱりおいしく楽しめそうです。
東京産パッションフルーツ、どこで手に入る?

東京で採れたパッションフルーツは、こんなところで購入できます。
※販売時期は販売先により異なります。
▼お店で購入
JA東京アグリパーク(渋谷区)
東京をはじめとした全国各地の新鮮な旬の食材を提供。新宿駅南口から徒歩4分。
※パッションフルーツの入荷は、イベント開催状況により変動があります。
https://agripark.tokyo/
東京愛らんど(港区)
公益財団法人東京都島しょ振興公社が運営する伊豆諸島・小笠原諸島のアンテナショップです。東京・港区の竹芝客船ターミナル内にあり、ちょっとした旅行気分も味わえます。
https://www.tokyoislands-net.jp/shop/store/
JA八王子 園芸センター(八王子市)
八王子産のパッションフルーツを取り扱っています。時期によってはパッションフルーツの苗も販売されています。
https://life.ja-group.jp/farm/market/detail/?id=597
道の駅八王子滝山(八王子市)
中央自動車道八王子インターチェンジから車で約5分。東京唯一の道の駅で、地元産のパッションフルーツをはじめ農産物や畜産物を販売する農産物直売所が併設されています。
https://www.michinoeki-hachioji.net/
農産物観光直売所(父島)
小笠原産のパッションフルーツが購入できます。
https://life.ja-group.jp/farm/market/detail/?id=1305
▼通信販売で購入
BASE販売サイト:三宅島農業振興会
https://nohshin.base.shop/
旬の味をイベントで体感!「パッションフルーツ産地リレーメニューフェア」へ行こう
東京都農林水産振興財団では、東京産ブランド農産物育成ステップアップ支援事業の一環で5~9月に「東京産パッションフルーツ産地リレー式メニューフェア」を開催中です。これは、東京都の各産地でのパッションフルーツを旬の時期に合わせて3軒の都内レストランで提供するというもの。
東京産パッションフルーツ産地リレー式メニューフェア
https://www.tokyo-aff-fc.jp/event/detail/id=879
※イベントは終了しました。
東京産ブランド農産物育成ステップアップ支援事業
https://www.tokyo-aff.or.jp/soshiki/5/88722.html