東京・立川をいちごの一大産地に!若手農家たちがつくる「立川いちご」の魅力
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公開日:2025年01月31日

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冬から春にかけて旬を迎えるいちごは、品種や産地によってもその特徴は様々です。
そんないちご界で今、じわじわと都内にファンを増やしている「立川いちご」をご存じでしょうか?
今回は、「立川いちご」を栽培する農家さんにお話を伺うため、立川市内にあるいちご農家「あみちゃんファーム」へ訪問しました!
「立川いちご」とは
「立川いちご」とは、立川市内の若手いちご農家5軒で構成される「立川いちご会」で栽培したいちごのこと。 現在は各農家で8種類ほどの品種のいちごを「立川いちご」として販売しており、年間約10トンを出荷しています。

立川いちご会に所属する豊泉亨平さん(左)、金子倫康さん(中央)、網野信一さん(右)
農家によって栽培方法や扱う品種は異なりますが、共通する特徴は、なんといっても最大限まで引き出された“甘さ”!
あみちゃんファーム代表である網野さんによると、その甘さの秘密は“地産地消”を前提とした“完熟状態での収穫”によるものだと言います。
他産地で栽培される一般的ないちごは、粒の半分程度まで赤くなった完熟手前で収穫されるのに対して「立川いちご」は粒全体が赤くなった完熟の状態で収穫されます。
果物の中には収穫後も甘さが増していく“追熟”の特徴を持つものもありますが、いちごは追熟することはありません。そのため、最も美味しい状態のいちごを出荷するためには糖度がピークとなる完熟の状態で収穫することがポイントとなるのだそうです。
そもそもなぜ市場に出まわる多くのいちごが完熟を待たずに収穫されてしまうのかというと、輸送中にダメージを受けたり在庫として一定期間保管されたりすることを前提とするためです。
デリケートな完熟状態のいちごの品質を保ち続けることは非常に難しいといえるでしょう。
しかし、「立川いちご」はそのジレンマに対して地産地消を前提とすることで解消しました。
直売所や都内のイベントなど、身近な場所での販売に特化したことで流通経路を短くし、農家から消費者の手元へ届くまでの時間も短縮。そうすることで、繊細な完熟いちごを新鮮なまま届けることができているのです。
これも東京都内という、人口が多くアクセスも良い地域にある農家だからこそ実現できたことでした。
その美味しさは一般の消費者のみならずプロの目にも留まるもので、地元を中心とした和洋菓子店にも販路を拡大しています。
「立川いちご」を含む複数箇所からいちごを仕入れている和菓子店からは「立川いちごの仕入れ割合を増やしたい」という話をいただいているというほど。その理由もやはり“甘さ”で、繊細な味の和菓子との相性がとても良いのだそうです。
このような栽培方法や販売方法の工夫により、品種を問わずいちごを一番美味しい状態で届けられる「立川いちご」は地元である立川市を中心にファンを増やしてきているのです。
いちごを通して地域を盛り上げたい

「立川いちご会」は、2023年12月に発足した比較的新しい団体です。
もともと立川市には様々な野菜や果物ごとにそれぞれの販売や広報を複数の農家で協力して行う団体があった中で、いちごだけはそのような動きがなかったのだそう。
そこに気づいた網野さんが発起人となり、立川市内でいちごを栽培する5軒の農家に声をかけて「立川いちご会」を結成しました。
発足以来、地元周辺での認知度を徐々に上げている「立川いちご」ですが、網野さん達には「いずれは東京都全体でも「立川いちご」というブランドとその美味しさを知ってもらい、いちごを通して立川市という地域を盛り上げ、立川市の誇りとなりたい」と、より先を見据えた目標がありました。
そのためにも出荷量の拡大やブランディングの強化などに向け動いていく予定である他、いずれはオリジナル品種として商標を取得することも考えているのだそうです。
それぞれの農家が力を入れたいことや掲げる目標は異なりますが、特徴が異なる農家同士が協力することで「立川いちご会」として対応できる幅が広がり、最終的にはそれぞれの農家にとってメリットとして返ってくるそうです。
そうしてさらに販路や参画農家数を拡大していくことで、農家が一体となって立川市を盛り上げていこうとする今後に期待が高まります。
期待される若い世代の強み
今回お話を伺った網野さん、豊泉さん、金子さんは皆さん若手農家として活躍される世代ですが、「立川いちご会」の代表を務めるのはその中でも最も若い豊泉さんです。
ベテラン農家の方は複数の団体役員などを兼任していることが多く、抱える仕事も多くなってしまいがちであるのに対し、若手世代はフットワークが軽く活動に集中できるのだそう。だからこそ、「立川いちご会」が今後も柔軟に活動していくためには、若手世代の強みを最も活かせる豊泉さんこそ代表としてふさわしいと判断したのだと言います。
そしてもちろん、これから新規就農を目指すさらに若い世代への支援も怠りません。 いちご栽培のノウハウに関する勉強会の開催を画策中である他、ハウス内の至る所に設置されているセンサーにも秘密がありました。

このセンサーは栽培に必要な温度情報などを記録できるもので、蓄積された情報は自分達だけではなく新たにいちご栽培を始める新規就農者へ還元することを前提にしているのだということです。
本来であれば各々で時間をかけて試行錯誤しなければ得られないこのような情報は機密情報として扱いたくなるところですが、網野さん達からは培ってきたことを次に繋げることも自分たちの役割なのだという強い使命感が伝わってきました。
持てる強みを最大限に活かした「立川いちご」を通して地域を盛り上げながら、次の世代へバトンを繋ぐ取り組みにも積極的な「立川いちご会」の皆さんの姿は、これから農業を始めようとする方にとっての希望であり、ロールモデルともなる存在なのではないでしょうか。
今後も「立川いちご」がファンを増やしていくとともに、「立川いちご会」が地域そして世代も超えて農業の盛り上がりの波を広げていくのが楽しみです!
▼取材協力
あみちゃんファーム
https://amino-farm.com/
取材者:大学4年生E・H
▼立川いちご会の商品を購入したい方必見!
2月8日(土)にJR有楽町駅前の交通会館にて実施する「東京農林水産マルシェ」に立川いちご会さんが出店予定!この機会にぜひお立ち寄りください!
https://www.tokyo-aff-fc.jp/marche/detail/id=802
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それでは次回の更新をお楽しみに♪