会員限定イベント「漁師さんに聞く!東京の漁業と都内産の魚を味わうランチイベント」を開催しました
春の兆しが見える2月28日(土)、東京農林水産ファンクラブでは会員限定イベント「東京の漁業を知り、都内産の魚を味わうランチイベント」を開催し、会員やそのご家族など11名が参加しました。
会場は、練馬区にある「小料理石井」。東京産の食材を使った料理をいただきながら、「伝統江戸前漁業を未来につなぐ会」代表理事の大野和彦さんと、店主の石井公平さんがリレー形式で登壇しました。

元漁師に聞く東京の漁業の今と昔
漁師歴44年の大野さんが漁師だった当初は、スズキ漁が盛んでしたが、現在は資源を守るべく、産卵期や産卵地域の漁獲は控えるなど、持続性のある漁業を推進しています。

大野さんが、もっと広まってほしいと話すのが低流通魚(たくさん獲れるのに人の食用に出回らない魚)や、低利用魚・未利用魚(魚体のサイズが不揃いであったり、漁獲量が少なくロットがまとまらないなどの理由から、非食用に回されたり、低い価格でしか評価されない魚)。
東京湾で獲れる「コノシロ」という魚の幼魚は「シンコ」や「コハダ」として寿司に欠かせない存在です。中でもシンコは、夏の江戸前鮨の代表として高値で取引され、都内の高級鮨店で重宝されます。しかし成魚となったコノシロは、小骨が食べづらいという理由で敬遠され、価格が下がってしまうとのこと。

大手菓子メーカーが、持続可能な漁業を応援するべくコノシロを使ったスナック菓子を開発。大野さんはこのプロジェクトにも関わり、江戸前漁業の活性化に貢献しています。
昨年漁師を引退してからは、子どもたちに魚に親しんでもらいたいと食育や漁業体験、漁場観察ツアーを開催。さらに、人と自然と社会が共に反映する「リジェネラティブ」をテーマとした事業探究ゲームの開発に協力し、2025年度グッドデザイン賞を受賞しました。東京湾のスズキ漁から生まれた「獲りすぎない」という考え方が、持続可能な漁業への一つの糸口になります。
豊洲に通う料理人が見る東京・日本産食材の現状
続いて登壇した石井さんからは、食の市場からの話題です。
豊洲市場に定期的に通う石井さんが教えてくれたのは、おいしい魚がどんどん海外に流れている現状でした。マグロやウニを筆頭に海外の人たちが買い付けており、将来日本でおいしい魚が食べられなくなるのを危惧しているとのこと。

海外の人がわざわざ日本に魚を買いに来るのは、日本の魚が世界のトップクラスでおいしいから。そのおいしいものを、もっと日本人が買って食べるべきと石井さんは話します。
「東京そして日本のものをもっと愛して食べてほしい。その消費マインドが日本の食を守ることにつながります」
利便性ばかりを求めるのではなく、もっと身近で作られるものを使う。私たち消費者が近所の直売所を利用したり、地元の食材を探して買うなど、できることを少しずつ広げていくことが、日本の食を大きくすると締めくくりました。

ときにユーモアを交えながらも、食の現場をよく知るプロならではの深い解説に、参加者の方々は真剣に耳を傾けていました。
お話の傍らいだたく、石井さん心づくしの料理は、東京の食材や旬のものがふんだんに使われたものばかり。

季節のサラダ、生めかぶ、たらのゼリー寄せ、神津島産キンメダイの煮付け、春を告げるニシンと大根の煮物、江戸前ホンビノス貝とわかめのお吸い物、名残の甘夏ゼリーなど、どれも素材の味が活きた味わいでした。
また、石井さんのご厚意で出汁に使用するかつお節を試食。

その場で削ったばかりのかつお節は、品の良い香りが漂います。話を聞きながらも手が止まらない人、おみやげに持ち帰る人もいました。
イベントは、東京の漁業や食材を味わい、参加者同士の交流も生まれた充実の一日となりました。
参加いただいた方からの声

低流通魚がもっと広がってほしい
魚が大好きで参加しました。食べ盛りの子どもがいるので、おいしくて価格が手頃という低流通魚にとても興味がわきました。ぜひ販路が広がってほしいです。
思い出深い味が獲れなくなっていると聞いてショック
漁師の話を聞いてみたくて参加しました。思い出のあるホンビノスが獲れにくくなっていることを知りショックでした。クラウドファンディングなどで力になりたいと思います。
未利用魚について学べる時間でした
小学校の栄養士をしており、子どもたちが授業で未利用魚に興味を持つようになり、勉強のために参加しました。コノシロのことは初めて聞いたのでとても興味があります。おいしい料理もいただけて、最高のイベントでした。

東京農林水産ファンクラブでは、今後もさまざまな東京の農林水産業に注目し、イベントを開催していく予定です。ぜひご期待ください!
イベント協力
一般社団法人 伝統江戸前漁業を未来につなぐ会 代表理事 大野和彦さん
明治大学卒業後、祖父の代から続く大傳丸に乗り、漁業に従事。伝統まき網の網元を受け継ぎ、漁師歴は44年にのぼる。一般社団法人伝統江戸前漁業を未来につなぐ会を立ち上げ、代表理事を務める。江戸時代から続く江戸前漁業を伝え、後世に持続可能な漁業を残すべく、漁業体験や漁場観察ツアー、食育・出張授業などを行う。
小料理石井 店主 石井公平さん
東京都練馬区大泉生まれ。つきじ田村や赤坂の料亭などで修行を積み、2015年に地元練馬にて「小料理石井」をオープン。地元の野菜や江戸東京野菜を使用した野菜と毎朝削りたての鰹節を使った出汁にこだわり、地元客だけでなく沿線からも常連客が集う。和食料理教室や小学校の食育、行政イベントなども担う。
取材・撮影:みつはしさなこ
